培ってきた技術で、アイデアをカタチに
一九堂印刷所の商品開発をインタビュー!

FEATURE
edit by Shiritaikun
創業から110年を超える歴史を持つ一九堂印刷所。
長年培ってきた印刷技術を活かしながら、今も新たな商品を生み出し続けています。今回は、その商品開発の裏側を探るべく、開発課の山本さんにお話を伺いました!
〈株式会社一九堂印刷所〉
永年の歴史に支えられた匠の技と、最先端のITデジタル印刷を融合させ、受注から製版・CTP刷版・印刷・製本・紙器加工まで、すべて自社プロセスで一貫生産する世界でも数少ないユニークな印刷会社。
2020年に創業110周年を迎えた。

一九堂印刷所 開発課 山本一希さんインタビュー

―オリジナル商品はどのくらいのペースで企画・制作されているのでしょうか。

課内では日々企画会議を行っています。お客様に実際に手に取って本当に満足していただけるものを目指し、試作と検証を繰り返しながら開発を進めています。実際に商品として販売できるのは、半年に2~3商品ほどのペースです。

―御社は事務所ですぐに試作品を製作できる環境が強みの一つかと思います。実際にこの強みを実感する瞬間やこの環境だからこそ生まれたアイデア・製品などはありますか。

おっしゃる通り、アイデアを思いついたら、まず実際に再現できるかをすぐに検証できることが強みです。例えばPAPER WALLETは、本社にミシンがあり、すぐに試作できる環境があったからこそ生まれた商品です。試作したものを実際に社員が使用し、使い心地や耐久性などを確認しながら改良を重ね、商品化につなげました。

商品化のアイデアになるよう代表が国内外から気になるパッケージを集めているそうです!

―PAPER WALLETについて、紙のお財布というのもユニークで素敵な発想だと思います!この製品が生まれた経緯についてより詳しく教えてください。

コロナ禍前後くらいから、キャッシュレス化が大幅に進み、現金を持ち歩く機会も減ってきた一方で、ちょっとした支払いなどで現金が必要になる場面もまだまだあります。そこで、様々なデザインで作成できる、軽くて薄く、必要最低限のお金とカードを持ち運べる「サブウォレット」のようなものに需要があるのではないか、という声から生まれたアイテムです。商品化にあたっては実際に社員が使用して一か月に一回は経過を撮影して使用感を確認しながら品質向上・改良につなげています。Instagramでも半年使ってみた動画を投稿しています。

PAPER WALLET
試作品をつくる際、紙も何種類か試して一番良いものを選んでいるそうです。

―実際に社員が使用して、経過観察しているということですが、こういったプロセスは他の商品でも常に行っているのでしょうか。

そうですね。やっぱり販売して、イベントなどでお客様から「半年使ってみたけどまだまだ使えます」というお声を実際にいただいたり、逆に「ここが切れちゃったよ」というお声をいただいたりして、じゃあ今後それをどうやったら改善していけるのかというヒントにもなるので社内ではそういった検証を大事にしています。

―オリジナルカレンダーはコロナ禍をきっかけに、旅への思いや世界の美しさを共有するツールとして制作されたと伺いました。当時はどのような課題や悩みがあり商品が生まれたのか、詳しく教えてください。

元々は、コロナ禍で旅行や外出が制限されていた時期に、「いつかまた世界のさまざまな国を訪れることができますように」という願いを込めてつくった、旅行気分を味わえるカレンダーです。旅行の必需品であるキャリーケース、エアチケット、パスポートをセットにしたデザインになっています。

カード制作のきっかけとなったカレンダー。UVシルク加工がされ艶のあるデザインとなっています。―THE NEXT JOURNEY CALENDAR 2027

―外箱のロゴも箔押し加工がなされていて高級感がありますね。

そうですね。こちらは工場見学の際に体験いただいた手形の箔押しと同じ設備の加工を使用しています。

余談になりますが、工場見学の際に手形箔押しの体験をさせていただきました。こちらは記念に会社に飾っております。
デザイナーさんがセレクトされた国ごとのカラーがとってもおしゃれ!

―カレンダーは好きな国があると嬉しいし、旅行に行きたくなりますね。

まさにコロナ禍の旅行に行けなかった時に、いつかまた旅行に行きたいという思いでつくったのがこちらのカレンダーでして、そのあとこちらが好評だったことに加え、1つひとつの都市の魅力をもっと手軽に楽しんでいただきたいという思いから、都市ごとに1枚のカードにした「THE NEXT JOURNEY FRAME CARD」も商品化しました。ですので、このカレンダーで使っている都市をそれぞれカードにしております。

カレンダーの景色をきゅっと閉じ込めたような作りで、セットの封筒に切手を貼って送れる仕様になっています。―THE NEXT JOURNEY FRAME CARD‘NETHERLAND’

カレンダーは現在3種類でており、海外はオレンジ・黄緑の2種類を毎年交互につくっていて、日本を周る青もあります。2027年はオレンジでフィンランド始まりとなっております。国ではなく、パスポートの色で選ばれるお客様もいらっしゃいます。

―この国も入れてほしい!という要望はよくあるのでしょうか。

はい。よくお声をいただきます。「ここの国はないの?」と。「国だけでなくニューヨークはあるけどロサンゼルスはないの?」といった別の都市をご希望いただくこともありますね。

国内外、各地を巡ることができるカードとなっています。

―レコードメッセージカードは、レコードジャケットの製造をする御社ならではの商品だと思います。こだわりの技術について教えてください。

板紙をくるんでつくるA式(アメリカ式)のレコードジャケットは、現在では製造できる会社がかなり少なくなっています。その製造技術を活かし、機械で製造できる最小サイズまで小さくしたミニチュアのレコードジャケットをつくりました。レコードジャケットの製造を続けてきた一九堂だからこそできる商品として、レコードを愛する方にぜひ届けたい、こだわりのアイテムです。

実際のレコードジャケットと同様、袋状の板紙に紙をくるっと巻いて裁断することでつくっています。1回で2丁(2個分)製造ができます!
NEOレコードメッセージカード

―実寸サイズのご用意があるのも面白いですね!

そうですね。イベントなどでサンプルとして持っていって「これをつくっている会社なんです」と説明すると、分かってもらいやすいです。

―ジャケットのイラストとメッセージはどちらが先に決まるのでしょうか。

基本的には絵が先だと思います。例えば、この‘Avec amour’‘Merci’のデザインは当時フランスから来ていたインターンの方が絵を描いてくれたものなんですけど、せっかくだからフランスっぽいテイストにしてもらっています。今後、国ごとにいろいろとシリーズにしてみたいなと考えたりしています。こういうメッセージがあったらいいよというご要望があればぜひ教えてください。

‘Avec amour’(愛を込めて)
何とも言えない猫の表情が好きで山本さんもお気に入りだそうです。―‘Merci’(ありがとう)
今年6月に販売が開始された第3弾!

―特典やコラボなどの実績、ご予定はあるのでしょうか。

YOSEKA主催のStationeryFestにての限定版を作らせていただいて、ブルックリンでご好評をいただいていたと伺っております。

StationeryFest限定版メッセージカード

―今後予定している企画(商品開発など)や展望がありましたら教えてください。

板チョコを模したノートブックを、9月の紙博から発売予定です。絶賛制作中で今お見せしているものはまだ完成品ではないです。
紙を貼り合わせてVカットというVの字のカットを入れる加工機で筋を通して溝を入れたらチョコレートに見えたということがきっかけで出来上がった商品です。紙の印刷はロゴの部分しかしていないのですが、紙の層の色の違いでちょうど削ったとことが薄く見えて板チョコ感が増しています。

chocolate note(ミルク)
chocolate note(ホワイト)

色は2色で、ミルクチョコレートとホワイトチョコレートです。ブラウンのミルクチョコレートの方は、白いペンとかで書いていただくと良いかなと思います。今まで無かった毛色の商品なのでどのような反響をいただけるかどきどきです。

※新商品の「chocolate note」は、9月4日~6日に開催された紙博で先行販売され大好評であったようです!こちらは、9月18日(金)よりオンラインショップでも販売開始予定となっております。→オンラインショップはこちらから

さらに、シリーズ展開しているご当地カードケースも、今後どんどんバリエーションを増やしていけるよう、日々開発を行っています。例えば、こちらにも新商品のチョコレートを貼って、板チョコのカードケースにしてしまうのもいいかもと考えていたりします。

ご当地カードケースセット

その土地の特産品をモチーフにしたカードケースです。名刺交換の時に小ネタになるのですごくお勧めです。もともとはイベントの開催場所に合わせてつくっていたんですけど、今はどんどん増やしている感じです。それぞれの特産品に合う素材を使用して、加工の仕方を変えてつくっています。文具女子博トーキョー2026で行なった投票企画で1位に選ばれて商品化したCARD CASE(ホタルイカ)はホタルイカの模様に蓄光インキという暗い場所で光るインキを使っていまして、ぼんやりと光ります。

CARD CASE(ホタルイカ)
蓄光インキの印刷加工による発光イメージ
他にもりんごのケースでは内側をこすると、少し林檎の香りがします!―CARD CASE(りんご)

新しい商品も続々と企画していますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います!

今回のお話を伺い、アイデアをすぐにカタチにできる環境があり、日々商品の品質向上に取り組んでいること、そしてさまざまなイベントを通して実際にお客様の声を大切にしていることが、一九堂印刷所のものづくりを支えているのだと分かりました!こうした積み重ねがあるからこそ、魅力的な商品が生まれているのですね。

これからも一九堂印刷所から生まれる新たな商品の誕生を楽しみにしています。山本さん、一九堂印刷所の皆様、ありがとうございました!

[Information]
●株式会社一九堂印刷所
https://ichikudo.com/

・X:https://x.com/_ichikudo
・Instagram:https://www.instagram.com/ichikudo_printing/
・Facebook:https://www.facebook.com/ichikudoprinting

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