音楽と「体験」を買う―台湾のCDショップ「WillMusic」代表Willyさんインタビュー

FEATURE
Interviewe Nao Adachi Photo by Honami Aoki
台湾国内に8店舗展開している、レコード&CDショップ「WillMusic」。音楽商品のみならず、アイドルのトレーディングカード、書籍、雑貨など、さまざまなジャンルの商品を販売しています。WillMusic代表のWillyさんに、店舗の歴史、台湾の音楽市場、今後の展望などについてインタビューしました。
<WillMusic>
2017年設立。台湾語表記は「微樂客」。実店舗やオンラインストアにて、日本・韓国・欧米などから輸入した音楽商品を販売。2018年からはファッション雑貨、食品、ライフスタイル商品などの輸入販売も開始。
WillMusic 代表 Willyさん

WillMusicの歴史

-WillMusicの設立から今日に至るまでの歴史について、詳しく教えてください。

僕の父が、WillMusicの親会社である「Metro Sound International Inc.」を設立したことが始まりです。僕はアメリカの大学へ留学していたのですが、2017年に台湾に帰国し、「WillMusic」を立ち上げました。Metro Sound Internationalでは、主に欧米レーベルの音楽商品を取り扱っていましたが、WillMusicではK-POPを主力商品とし、J-POPや台湾のポップスも取扱商品にしました。

-WillMusic設立から約8年で、店舗は8店展開されていますよね!成功の理由は何でしょうか?

コロナ禍の2020年ごろ、他のレコードショップやCDショップは、来客数の減少に伴い、次々と閉店していきました。WillMusicはオンラインストアに注力して売上を伸ばし、市場を独占することに成功しました。それが成功した理由だと思います。

-なるほど。オンラインストアも開業され、コロナ禍の状況を逆手に取ったんですね!

店舗の”色”は同じに―お店づくりのこだわり

-現在(2025/12時点)のWillMusic店舗について教えてください。

8店舗展開していて、実は近々さらに2店舗展開する予定ですので、もうすぐ計10店舗になります。

-すごいですね!それだけ店舗展開できる、WillMusicの強みや特徴は何だと思いますか?

色んな国の、色んなジャンルの商品を見つけることができる店、ということが強みだと思います。

-確かに。インタビュー前に「台北 ATT4FUN店」に伺いましたが、K-POPアイドルのトレーディングカードが壁一面に並んでいるのが印象的でした!

それもWillMusicの特徴です!

「カードウォール」と呼ばれる、トレーディングカードを壁一面に展示・販売するスタイルを採用しています。これは台湾国内でも唯一の展示・販売方法ですので、最大の特徴だと思います。

-カードウォール、とても目を引きますね!お客さんも集まっていました。

各店舗、デザインは違いますが、大切にしているのは「店舗の色は同じにする」ことです。店舗そのもののデザインは違えど、どの店舗も「WillMusicだな」と思ってもらえるよう、統一感を持たせるようにしています。

-店舗の”色”を同じにするという発想、こだわりが素敵です。各店舗のデザインはどのような違いがあるんですか?

高雄店はWillMusic最大の店舗で、3階建てです。照明や、映像を流すためのテレビを多く設置し、近未来感のある雰囲気にしています。WillMusicはポップスがお好きなお客様が多く来店されますが、台北所在の「ONEMUSIC」というレコード専門店もあります。差別化した店づくりをすることで、ポップス以外の音楽がお好きなお客様も来店される店づくりにしています。

WillMusic高雄店

-お話を伺うと、他の店舗も訪れてみたくなりますね!

次回台湾にいらした際は、ぜひ高雄店を見てもらいたいです!

台湾の音楽シーンは今

-店舗に訪れるお客さんは、どんな方が多いですか?

小学生から50代までと幅広い年代にご来店いただいていますが、最も多い年齢層は中高生ぐらいのティーンエイジャーです。顧客の90%が女性客ですね。服装などを見ても「K-POPが好き」と分かる雰囲気のお客さんが多いです。

-ということは、K-POPが1番売れますか?

はい、圧倒的にK-POPが売れています。K-POPは、新譜だけではなく、旧譜も継続的に売れる「ロングテール」な市場です。関連して、K-POPのピアノ楽譜や、韓国アイドルの写真集、韓国ドラマの台本…いわゆる「スクリプトブック」と呼ばれる書籍も人気です。

-K-POPの流行の影響で、書籍や楽譜も売れ行きが伸びるというのは、いろんなジャンルの商品を販売しているWillMusicならではの強みですね。

まさにそうです。他の商品だと、レコードは台湾でも安定した人気があり、WillMusicでは新譜はもちろん、中古レコードも販売しています。特にアニメ作品などのサウンドトラックが人気で、最近だと「SILENT HILL」シリーズが売れています。反対に、ジャズやブルースは苦戦傾向にありますね。

-J-POPはいかがですか?

J-POPは、新しいアニメ映画など、話題作品は爆発的に売れますが、ブームが去るのも早い傾向です。台湾の物価からすると、日本のCDやレコードは輸入盤なので少し高いと思われがちで、それも売れ行きが伸びない原因ですね。

WillMusic ATT4FUN店

「体験」の提供-イベント事業

-近年は、店舗運営以外にも、イベント事業展開もされていますよね。

そうなんです。残念ながら、CDの売上は年々下がっているので、イベントでCDを売る方法にシフトしています。ありがたいことに、台湾のK-POPファンの間では「CDショップといえばWillMusic」という地位を確立できているので、広告費等はかけずとも、イベントやPOP UP STOREの展開に繋げることが出来ました。

-店舗展開に成功したからこそ、次のステップに進めたわけですね!

そうですね。通常のCD売上は、1タイトルおおよそ20~30枚程度ですが、アーティストを招いたイベントを開催すると、1,000~2,000枚規模まで跳ね上がります。

-そんなに!

イベント開催は、CDの売上に直接影響しますね。

-どういったイベントを運営されていますか?

サイン会、2ショット会、お見送り会や、WillMusic店舗の「1日店長」としてアーティストを招くこともあります。イベントでは、WillMusic限定のトレーディングカードなど、限定特典を製造・提供することもあります。

-限定特典まで!ファンの方がイベントに参加したくなる仕掛けづくりをしているんですね。

WillMusicのこれから

-今後のWillMusicの展望を聞かせてください。

WillMusicの店舗数を増やし、ファンが音楽だけでなく「体験」を楽しめるような場所を提供したいですね。コンサートやサイン会など、オフラインイベントをさらに開催していきたいです。

-「体験」の提供。イベントは、お客さんが音楽を通じて新たな体験ができる、貴重な機会ですよね。

そうですね。個人的な趣味の話になりますが、僕は2012年から600タイトル以上のアニメを視聴してきました。なので、J-POPアーティストや、日本のアニメ・漫画とのコラボレーションも実現させたいです!

-600タイトル!すごい!なんのアニメが1番好きですか?

1番…(笑)決めるのは難しいですね、「となりのトトロ」かな?(笑)人気なものより、少しコアな方が好きですね。「あの花」(”あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。”の略称)とか!音楽が良いアニメが好きです。

-「あの花」は名作ですよね。最後に、日本の音楽ファンにメッセージをお願いします!

僕はK-POPよりもJ-POPが好きです!(笑)

-(笑)

いや、でも本当に、J-POPの方が好きです。日本の音楽は、利益よりも、品質を重視して作られていると思います。K-POPは付属の特典をお目当てにCDを買う人が多く、いわばコレクション的な要素も大きいですが、J-POPのCDを買う人は、音楽そのものを評価しているんだと思います。台湾の人も、僕と同じように日本の音楽を楽しんでくれてるんじゃないかな。

-日本人として、J-POPを評価してもらえて嬉しいです。台湾の方々にも、もっと沢山J-POPを聴いてもらいたいですね!

「人生で初めてインタビューされます」と嬉しそうに話してくださったWillyさん。イベント事業など新しいことに積極的にチャレンジする姿勢が、WillMusicの成功に直結していると感じました。みなさまも台湾に訪れた際はぜひ、WillMusicにお立ち寄りください!
[Information]
WillMusic
店舗情報:https://www.willmusic.com.tw/v2/Shop/StoreList/39836

・Website : https://www.willmusic.com.tw/
・Instagram:https://www.instagram.com/willmusic.official/
・Facebook:https://www.facebook.com/willmusictaiwan

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