老舗文具メーカーLIFE ~ものづくりの理念と職人技術がこめられたヒット商品「ノーブルノート」の裏側~
一つ一つの工程で職人の手と目が関わり、こだわりをもった商品を展開されています。
看板商品であるノーブルノートはどのように作られているのか、製本されている長山さん・山田さんにお伺いしました。
昭和24年12月設立。
原稿用紙・ノート・便箋・封筒・手帳などの文具・紙製品を展開。
書き心地、触り心地、色合いなどを追求した「Lライティングペーパー」はライフのオリジナル筆記用紙。そんな「Lライティングペーパー」を初めて搭載した製品がノーブルノートです。
丈夫で美しく、職人技があって完成されるノートで、コラボ製品も多数販売されています。表紙は1960年代当時のタイプ用紙を継承したデザインです。
ノーブルノートの特徴「分け折り製本」
-現場にて
長山さん:
ノーブルノートの製造過程を知るにあたって、逆転の発想で見てもらうと分かりやすいです。出来上がる前の状態は縦にノートが2冊つながっていて、背表紙のクロスを取ると糊固めされている状態になります。糊固め前はおもて表紙とうら表紙の2冊に分かれています。これらをそれぞればらすと、本紙25枚とその間(本紙13枚目)に表紙が入っていて、それを分けて折るので「分け折り製本」といいます。
― 縫うときに、おもて表紙とうら表紙も一緒に縫うのですね。
長山さん:
この25枚のうち、下13枚・表紙1枚・上12枚というように綴じていきます。
本紙25枚でページ数が倍の50ページになり、それをふたつ組み合わせること100ページになります。
工程1.ノートの中身になる本紙の断裁
長山さん:
実際に今から紙を断裁し、枚数を数え(員数)、表紙を入れるという段階を踏んでいきます。
― 一度に何枚くらい切られているんですか?
長山さん:
通常700~800枚くらいです。
断裁することでふたつに分かれるので、同じ枚数で表用・裏用に使うことができます。
山田さん:
表用と裏用の紙が混在しないよう、断裁した紙のブロック側面に、表用は赤、裏用は黒のラインを引きます。
工程2.丁合作業
山田さん:
次に員数機という指定した枚数ごとにテープを差しこむ機械を使って、紙を25枚ずつ分けていきます。
―これなら枚数を違えることなくノートが作れますね。機械が1枚1枚紙を触ることで数えられているのでしょうか?
山田さん:
中に小人がいます。
一同:(笑)
長山さん:
(機械を開けて見せてくださいました)
この場所(写真の矢印部分)からエアーが出て、紙を擦って返すことでカウントします。25回カウントしたら、テープが出る仕組みになっています。
そして、はじめに説明した13枚と12枚がここで出てきます。
まず、員数機で25枚ずつ分けた紙の束から13枚取ります。この時、残りの12枚は一旦よけておきます。13枚の上に表紙→25枚→表紙→25枚・・・を繰り返して重ねていき、最後に先ほどよけていた12枚を重ねます。
おもて表紙用もうら表紙用も同様の工程で丁合していきます。
丁合したものを、もう一度員数機で25枚ずつ分けることで、本文13枚・表紙・本文12枚の1セットに分けることができます(※この時、表紙は本紙の半分ほどのサイズのため、員数機でカウントされません)。おもて表紙用とうら表紙用の2束を合わせた計100ページがノート1冊になります。
工程3.糸綴じ
山田さん:
丁合後に員数機で分けたテープを目印に、1冊ずつミシンで縫っていきます。
実はこのミシン、製本用のものではなく、厚手のテントなどを縫うミシンなんです。
南井さん:
ミシンの背面にある器具も職人たちの工夫で後付けしたものなんです。器具の先端に刃がついていて、縫い終わったノートが落ちるタイミングで回転して糸が切れるようになっています。
―なるほど、職人の方の工夫が詰まっているのですね。
山田さん:
縫い終わったら、ずれがないか確認して、もしずれていたら差し替えてまっすぐに縫い直します。
―湿度や温度によっても紙の状態は変わってしまいますか?
山田さん:
すごく変わります。冬は乾燥しているので紙が浮くくらい反ってしまったり、夏や雨の日は湿度が高いので柔らかくなってしまったりと、紙の扱いは難しいです。
長山さん:
なるべく湿度を保てるように、加湿してカーテンをかけたり、逆にカーテンを開けて風通りを良くしたりして調節しています。
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