洋書絵本専門店「絵本の家」のスタッフに学ぶ”だから洋書絵本って良い!”【後編】
1994年にオープンされてから今年20周年を迎えられます。
いわば「洋書絵本のプロフェッショナル」のスタッフの皆様に、洋書絵本・グッズについてや、「絵本の家」で働く魅力についてお話を伺いました。
1984年の創立以来、英米はもとより、フランス、ドイツ、韓国、中国など約30ケ国以上の海外の出版社から仕入れた4000タイトル以上の洋書絵本を輸入販売。2004年には、洋書を実際に手に取って選びたいという声に応え、商談用のショールームも兼ねた直営店をオープン。年齢やテーマに合わせた絵本、また、近年関心が高まっている英語教育向けの教材など、豊富に取り揃えている。
洋書絵本×英語学習
―店舗にいらっしゃるお客様から、どのようなリクエストが多いか、教えてください。
舘野さん:様々ありますが、多いのはこの2つです。
1. ベビー、幼児向けの絵本:傷みにくいボードブック(固い厚手の紙を貼り合わせて作った本)が人気です。小さな指で動かせる簡単な仕掛けがあり、色が鮮やかで、簡単な英語が楽しめるものや、QRコードで読み聞かせ用の音声が聞ける本も増えています。親子のコミュニケーションにもオススメです!
2. 英語学習者向けCD付絵本:耳からも英語を学べる絵本として、朗読や絵本の内容がそのまま歌やチャンツで復唱でき、英語学習者向けCD付絵本も人気です。最近は、小さい子向けのリーダーズ(平易な英語で書かれた薄い冊子形状の読み物)の需要も増えています。
―英語教材では「QRコードで音声が聞ける」というスタイルは多く感じますが、幼児向けの絵本にも音声が付いているんですか?
上野さん:イギリスのNOSY CROW社が出版している絵本は、QRコードが付いていて、スマートフォンなどで読み込んで音声を聴くことが出来ます。近年はCDプレーヤーを持たないご家庭も増えているので、需要がありますね。このような読み聞かせに良さそうな商品は積極的にお店に置くようにしています。
―なるほど。読み聞かせ用の音声、初めて知りました。新しくて良いですね!
南米やアジアの絵本とも出会える!
―国ごとに絵本の違いってあるんでしょうか?
小松崎さん:ありますね。絵本で面白いのは、国によって紙の手触りですとか、厚みの差などを感じることができます。北欧諸国はブルーがよく活かされていて、東欧は赤みが多くあたたかみがあるなど、国ごとの特徴を楽しめるのが絵本の良さですね。絵本は言語を超えて楽しむことが出来るのが良いところです。
―英語以外の言語の絵本だと、どの国から輸入されていますか?
舘野さん:最近は外国籍のお子さんのために、多言語の商品を増やしているところです。アジアからヨーロッパ、南米まで取り揃えています。
―南米!日本から距離があるので、なかなかお目にかかれない絵本も多そうですね。
舘野さん:遠いということもあって、実は安定的な輸入に一苦労しているというのはあります。それでも各国の絵本を輸入することにこだわっています。
例えば、”ブラジルで出版された”ポルトガル語の絵本を輸入する、などですね。ポルトガル語の絵本であれば”ポルトガルで出版された絵本を輸入する”ということも可能ですが、南米で出版された「現地の絵本」ということにこだわって輸入しています。
―言語が同じでも出版国が違うと絵本も違いが出そうですよね。アジアではどんな国から輸入していますか?
舘野さん:中国、韓国、フィリピン、ベトナム、カンボジアなどですね。フィリピンは現地の画家を育てるための賞が多くあるらしく、その影響もあってか魅力のある現地の画家の方の絵本が多いです。
―多国籍言語で書かれた絵本は、具体的にお客様からどんなリクエストがあるんでしょうか?
舘野さん:自治体によりますが、多文化共生センターなどで展示のために様々な言語の絵本を揃えたい、といったリクエストがあります。どの国籍のお子さんが多いか、という地域の実情に応じた本を提供できるようにしたいのですが、国内での需要はまだ不透明なところもあります。リクエストを伺って社内で意見を集約したうえで、慎重に判断しながら輸入しています。試行錯誤の連続です。
多言語で楽しめる!『The Very Hungry Caterpillar はらぺこあおむし』
上野さん:日本でも大人気の絵本『The Very Hungry Caterpillar(邦題:はらぺこあおむし)』ですが、絵本の家では各国の言語の翻訳版を取り揃えています。
―こんなに色んな言語で出版されているなんて知らなかったです!なぜこんなに多く取り揃えられているんですか?
上野さん:旅行で大阪に行ったときに、万博記念公園内にある国立民族学博物館を訪れて。奥にある図書室の中に『はらぺこあおむし』と『星の王子さま』の多言語絵本がたくさん並んでいるブースがあったのを見つけたのがきっかけです。絵本展示の横にあるボタンを押すと、なんと各国の言語で読み上げてくれるんです!これは絵本の家にも置くべきかな、と思って仕入れることに決めました。
―プライベートのご旅行での出会いから仕入を決めるなんて!常に絵本の家のことを意識されてるんですね。
上野さん:そうですね~。国立民族学博物館にお電話させていただいて、書籍の情報を聞かせてもらい、実際に輸入に至りました。どこの国だったか、届いた絵本の梱包材が現地スーパーのチラシだったりして、そんなところからも現地を感じられてスタッフ皆で楽しく読みました(笑)本が好きなので、旅行に行っても、現地の本屋さんを訪れたりしますね。
―今は絵本の家の中でも売れ筋商品となっている『はらぺこあおむし』。輸入のきっかけは上野さんが作られていたなんて…!すごいです。
絵本の家のこれから
―岩崎書店絵本の家事業部は今年で40周年。絵本の家の直営店は今年オープン20周年。これからの目標を聞かせてください。
小松崎さん:「やめない」ことを続けていきたいです。20年、採算が取れない時や大変な時期もありましたが、やはりスタッフの皆が「絵本の家が好き」と言ってくれたので続けて来られました。洋書絵本の選書から販売、オリジナルグッズの企画から制作など、いわば川上から川下までを一手に担ってきましたので、これからもそんな書店であり続けたいです。
これからも絵本の家が多くの人と洋書絵本の出会う場でありますように。ありがとうございました!
株式会社岩崎書店 絵本の家事業部
絵本の家 直営店
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