洋書絵本専門店「絵本の家」のスタッフに学ぶ”だから洋書絵本って良い!”【前編】

FEATURE
Interviewer Nao Adachi Photo by Ayumi Koseki
目白にある洋書絵本専門店「絵本の家」。2004年にオープンされてから今年20周年を迎えられます。いわば「洋書絵本のプロフェッショナル」のスタッフの皆様に、洋書絵本・グッズについてや、「絵本の家」で働く魅力についてお話を伺いました。
株式会社岩崎書店 絵本の家事業部(HPより一部引用)
1984年の創立以来、英米はもとより、フランス、ドイツ、韓国、中国など約30ケ国以上の海外の出版社から仕入れた4000タイトル以上の洋書絵本を輸入販売。2004年には、洋書を実際に手に取って選びたいという声に応え、商談用のショールームも兼ねた直営店をオープン。年齢やテーマに合わせた絵本、また、近年関心が高まっている英語教育向けの教材など、豊富に取り揃えている。

絵本の家 店内(撮影:2024年1月上旬)
絵本の家スタッフの皆様

「絵本の家」とは?

代表 小松崎敬子さんにインタビュー

―直営店「絵本の家」のオープンに至った経緯について教えてください。

個人向けの直営店をオープンしたのは2004年。それまでは洋書絵本の輸入販売業を行っていましたが、当初は一般のお客様向けの店舗を構えることは考えていませんでした。しかし、「せっかくこれだけの洋書絵本があるのだから、お客様に手にとって見てもらおう」と思ったのがきっかけで、直営店のオープンに至りました。書店の役割だけでなく、図書館司書や書店員の方々が本を選ぶためのショールームも兼ねています。

―書店のイメージが無い目白。なぜ直営店オープンの場所に目白を選ばれたのでしょうか?

事務所を目白に構えていたので、そのご縁もあり同じ目白にオープンしました。今もスタッフの皆が「直営店が好き」と言ってくれるので、全国の書店数が減少している中でも、「辞めずにずっと続けていこう」という気持ちで運営しています。

―お店にはどのようなお客様がいらっしゃいますか?

親子連れの方、プレゼントをお探しの方、絵本が好きな方、日本在住の外国籍の方、観光客の方など様々です。以前は女性のお客様が多かったですが、最近は男性のお客様も増えています。書店員の方や図書館司書の方など同業種の方々もいらっしゃいますし、カフェやレストランなど異業種の方々もいらっしゃいます。私は「洋書は売れるディスプレイ」だと考えています。洋書を読書以外の方法、例えばインテリアにお使いいただけることも、とても嬉しいです。

スタッフだからこそ分かる「絵本の家」のここが良い!

絵本の家スタッフ 舘野さん・上野さんにインタビュー

 左: 舘野さん: 好きな洋書絵本『Pitschi』 右: 上野さん: 好きな洋書絵本『Good Night, Gorilla 』

―絵本の家を知ったきっかけと、働きたいと思った動機を教えてください。

舘野さん: 絵本の家が出版していた『洋書絵本のえほん : 見てたのしい特選洋書絵本 The Best 300』というカタログに偶然出会ったのがきっかけです。「働かせてください!」と電話をしました(笑)

―電話!すごい熱意ですね。

「電話してきた人は初めて」と言われました(笑)アメリカ留学中に言葉の壁を感じていた時、洋書絵本を読んで「英語が分からなくても絵本は感情が伝わる」と実感して、洋書絵本の魅力に気づきました。絵本の家のような「洋書絵本に携わる仕事」の存在を知り、働きたい!と強く思いました。

―確かに、絵本は挿絵が豊富で、子どもも楽しめるストーリーが多く、言語の壁を越えて感情が伝わりますよね。上野さんはどんなきっかけで絵本の家を知りましたか?

上野さん:学生新聞を作るのが好きで、編集の仕事がしたかったので元々は出版社で働きたいと思っていました。そんな時、書店員だった高校時代の友人に絵本の家を紹介されたのがきっかけで、本に携われる仕事なら是非やりたい!と異業種から転職しました。

―絵本の家ではどんなお仕事をされていますか?

上野さん:SNSで洋書絵本の情報を発信しています。SNSを見て店舗に来てくださるお客様も増えてきているので、店頭に「今月のインスタ棚」を設けて、Instagramで紹介した絵本をまとめています。

―スタッフだからこそ!「私だけが知っている絵本の家の魅力」は何ですか?

舘野さん:これだけの数の洋書を実際に手に取れるというのは貴重だと思います。絵本好きにとってはまさにパラダイス!
上野さん:留学生や海外からの観光客の方など、非英語圏の国のお客様とも出会うことができるのが刺激になります。

お客様にぴったりの洋書絵本を選ぶ「選書力」の秘訣

―お客様にぴったりな洋書絵本をおすすめする「選書力」が必要なお仕事だと思いますが、どのように提案されているのでしょうか?

舘野さん:絵本の家には幼少期から本が大好きなスタッフが多く、仕事でも年間かなりの数の絵本に目を通します。洋書絵本についてはかなり目が肥えているとはいえるのではないでしょうか(笑) ただ、好みの絵本と日本で需要のある絵本は必ずしもイコールではありません。皆でよく相談をしながら、原書のままで日本に紹介したい作品や、市場で求められている商品は何か、常に探求しています。

―お店にいらっしゃるお客様からはどんな選書リクエストが多いですか?

上野さん:プレゼントをお探しのお客様が多いです。プレゼントといっても、初めて会う場合や誕生日のお祝いだったりと、目的や渡す場所、予算等でも選書は変わってきます。お客様によってはご自身でゆっくり選ばれたいという方もいらっしゃいますので、その見極めも大事です。「日本語の書籍では何が好きですか?」などヒアリングをしています。あとは、お客様のファッションスタイルなどからもお好みを探っています。

―ファッションスタイルから!具体的には?

上野さん:お持ちの小物やバッグから、お好きなテイストやアーティストを考えてお声がけします。せっかく来てくださったからには提案した絵本を気に入っていただきたいですし、プレゼントだったら「そのお客様が選ばれた絵本」というのが分かるような、「そのお客様を感じてもらえる」選書を心がけています。

―そこまで考えて接客されているなんて…長年の経験から培われている「選書力」に脱帽です…!

洋書絵本にしかない魅力

―原書である洋書絵本を和訳した「翻訳版の絵本」は数多く出版されています。そんな中、あえて洋書絵本を手に取りたくなる魅力は何でしょうか?

お二人:洋書絵本にしかないページや言い回しがあったり、和書版と読み比べて新発見!なんてことも。国によって絵本の紙質や色味、装丁も違って、洋書絵本は奥が深くて面白いです。

原書『In The Forest』と和書版『もりのなか』
原書『Library Lion』と和書版『としょかんライオン』

舘野さん:『In The Forest』は出版社で絶版となってしまったので、「絵本の家版」として復刻して発行しました(※現在は絶版となります)。

「絵本の家」は洋書絵本だけじゃない!?

幅広い世代に人気!オリジナルグッズを企画・販売

『The Little House』のオリジナルグッズ

舘野さん:海外の有名な絵本からオリジナルグッズを作っています。The Little House(邦題:ちいさいおうち)で有名な『ヴァージニア・リーバートン™』『Frog and Toad がまくんとかえるくん』『The Tiger Who Came to Tea おちゃのじかんにきたとら』『Leo Lionni’s Friends レオ・レオニズ・フレンズ』など。
絵本の家スタッフが「この絵本のグッズを出したい!」と企画し、制作まで携わっています。

『おちゃのじかんにきたとら』のオリジナルグッズ

飛び出す洋書絵本!仕掛け絵本(別名:ポップアップ)

『ポップアップしかけ絵本 星の王子さま (日本語版)』

上野さん:永遠の名作、サン=テグジュペリの有名なフランス文学 『Le Petit Prince(星の王子さま)』の豪華な仕掛け絵本が、岩崎書店より出版されています(日本語翻訳版)。

読んで、絵を見て、仕掛けも楽しめる魅力が満載。男女を問わず人気のある作品です。『星の王子さま』を愛するすべての人に、そして、はじめて『星の王子さま』に出会う人にもぴったり!

大人の方が難しい!?ボードゲーム

舘野さん:ボードゲームの中でも、スポッティングという絵さがしゲームが人気です。

―ということで、SHIRITAIKUNも新しく発売されたボードゲーム”デンジャー〔危険生物〕スポッティングゲーム”に挑戦させてもらいました!

箱から小さなカードを引きます 引く時の掛け声は「GO!」
このカードと同じ絵柄の生物をボードから探します
見つけたら…「I SAW IT FIRST!」と言いながら指を差します

―ボードゲームはどんな方におすすめですか?

舘野さん:幼稚園や保育園で人気がありますが、大人も子供も一緒に楽しめるのでご家庭でも良いと思います。ただ、記憶力や集中力が必要なゲームだと、大人には逆に難易度が高く感じたりします(笑)出版社が作ったボードゲームなので、イラストのクオリティについても評価が高いです。

―確かに、大人の記憶力では非常に難しいゲームでした(笑)

[Information]
株式会社岩崎書店 絵本の家事業部

絵本の家 直営店
東京都豊島区目白1-7-14みさとビル1F

コーポレーションサイト:https://www.ehon-house.co.jp/
オンラインショップ:http://ehon-house.com/

X:https://twitter.com/Ehon_House
Instagram : https://www.instagram.com/ehon_house/
Facebook:https://www.facebook.com/EhonHouse
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