
【2025/11/28更新 来日買い付けレポート追加 】
リトルトーキョーの象徴「文化堂」:アメリカと日本を繋ぐ橋
1946年創業、ロサンゼルスのリトルトーキョーにある日本の伝統的な工芸品、一般的な日用品や布製品、食器、書籍など、多岐にわたる日本文化に関連する商品を取り扱う日本雑貨店。商品の販売のみならず、戦後から今日までの長きにわたり日本文化を発信し続けている。

―こんにちは、文化堂さんは1946年創業ですから、かれこれ80年に近い歴史がありますね。
はい、文化堂は1946年、第2次世界大戦すぐに、私の叔父のトキオ・ウエヤマによってリトルトーキョーでオープンしました。叔父はもともと戦時中はキャンプ地で写真家をしていたので、たくさんの文化人と交流がありました。例えば、メキシコ人画家のディエゴ・リベラ(Diego Rivera)などです。当時、私たちの親戚はスポーツ用具のお店やギフトショップなどいくつかのお店をリトルトーキョーでやっていましたが、最終的には文化堂だけが残りました。
私自身は22歳までニューヨークのジュリアードでダンサーを目指していて、そのまま17年間ニューヨークで働いていたんですが、父が亡くなり、母が一人でお店を切り盛りしていましたので、ロサンゼルスに戻り母を助けることにしたのです。

―文化堂は、文化の集まる場所、文化の家ということを意味すると思うのですが、もともと叔父様がカメラマンであり画家でもあり多くの芸術家たちとの交流があったことも含めて、そういう意味でこの名前にされたのですね。
はい、リトルトーキョーは他にも戦後の復興期の中で様々な文化人やアーティストたちが集まっていました。その空気感は今でも引き継がれているのだと思います。
―私たち日本出版貿易も1942年に創業して、その創成期から文化堂さんとお取引きをさせていただいています。
私たちは、もともとレコードや日本の雑誌を御社から輸入し、それを全米にいる日本人の方に定期的に配送していました。
―全米にですか!?
地方の方はお店に来られないし、当時、アメリカの地方で農業に従事している日本人の移民の方が沢山いましたので、その方たちに送っていました。
―主にどのような雑誌を取り扱われていたのでしょうか。
婦人公論や、マーガレットなどがとても売れていましたね。もう今では雑誌はほとんど販売していないのですが…
変遷するリトルトーキョー

―少し話は変わりますが、この10年ほどの間にリトルトーキョーもだいぶ変わったのではないでしょうか。とてもきれいになりましたよね。
昔はホームレスもいたりして、治安もあまり良くなかったんですが(笑)みんなでクリンネス活動をやり始めてから、地域の警察の協力もあり、すごくきれいになりました。ありがたいことに、今では全米でもとてもユニークな場所として有名になり、若い人達もこのリトルトーキョーに沢山集まってきます。
ー日本の文化はアメリカでは人気がありますか?
はい、アニメの影響も大きいと思いますが、今ではもう日本のサブカルチャーはしっかりアメリカに浸透していますし、とても人気があります。
例えば、抹茶はすごく人気です。若い人には、抹茶アイスクリームなどとても人気がありますし、お年を召した方は健康的だと言って皆さん大好きですね。
あとラーメン屋さんも多いです。ありすぎて、またラーメン屋さんができた(笑)、なんて冗談で言うほどです。ラーメンは選び放題、リトルトーキョーはラーメンロードですね。
―ロサンゼルスでも昔は幸楽苑が唯一のラーメン屋さんでしたよね、日本食が恋しくなったら幸楽苑みたいな。
ラーメンがとても人気ということもあり、蓮華とかどんぶりも売れますね。それと楽焼などの陶磁器も人気ですね。




―これまでお店をやってきて思い出に残るエピソードがたくさんあると思いますが、少しだけ教えていただけますか。
昔はレコードやCD、カセットテープを沢山販売していたので、美空ひばりさんはアメリカでコンサートがあるとよく立ち寄ってくれましたし、歌手の北島三郎さんなんかも良く立ち寄ってくれて、文化堂の方が日本より古くてレアな商品ががたくさんあるなんて言って良く買ってくれていました(笑)
―多くの日本の有名人の方がお店に立ち寄られたのですね。
あと面白いのは、家紋ですかね。
―家紋?
旅行でアメリカに来ている日本の方が、ご自分の実家の家紋をここ(文化堂)で見つけたりして、すごく喜んでいました。俺の家紋がロサンゼルスにあった!なんて言って(笑)
ジブリ、ゴジラ
―お店ではどういったものがよく売れているのでしょうか?
やはり、全体として「かわいい」カルチャーは大人気ですね。
キャラクターや商品でいったら、映画の影響でジブリとかゴジラは大人気です。ゴジラであれば何でも売れます(笑)

ロサンゼルス・ドジャース
―そういえば、エンゼルス大谷翔平選手のドジャース入団も決まっており、日本ではロサンゼルスがとても脚光を浴びています。今後も日本人の観光客が増えるのではないですか?
実は私、エンゼルスの大ファンなんです。球場にはよく行くんですが、昨年まではダグアウトが見える席で、私の隣にいた日本から応援に来た旅行中の人が大谷選手を見て声を上げているのを見ながら、ほんとにキュートだなと思っていました。

―(笑)
ただ、大谷さんとトラウトなど主力選手が頑張っていても、チームが弱くて、試合によく負けていたので少し可哀そうでしたね…
―しかし、その大谷選手も今年はドジャースに移籍してしまいますね。
日本人の方がたくさん来るのでビジネス的にはハッピーだけど、エンゼルスファンの私としては戦力が落ちてハッピーではないです(笑)ここでドジャースのユニフォームでも売ろうかなと思っています(笑)
最後に
―最後に日本の方にメッセージをお願いします。
ぜひ、ロサンゼルスに来たらお店によって声をかけてください!

―アイリーンさん、有難うございました!
浅草橋~神保町買い付けレポート(2025年11月28日追加)
TEXT by Wataru Makino
ロサンゼルスのリトルトーキョーにお店を構える文化堂が、商品の買い付けのため来日。東京の浅草橋~神保町での買い付けにJPTスタッフも同行させてもらいました。
久しぶりの東京買い付け
普段は京都~東京で商品を探すようですが、今回は東京のみでスケジュールとのこと。
今回立ち寄ったお店は人形のCMでおなじみの久月さん、業務用資材から生活雑貨まで何でも取り揃えているシモジマさん、そして創業100年を超える老舗の奥野かるた店さんにお邪魔しました。

【久月~シモジマ】
まず、最初にお伺いしたお店は東京浅草橋に本店を構える久月です。創業180年以上の歴史を持つ、人形といえば久月というイメージがとても強いですが、今ではぬいぐるみやキャラクター系商品といった雑貨も幅広く販売しているようです。
店内では一般のお客様も散見されましたが、ほとんどの人が海外からのお客様のようでした。ここでもインバウンドの効果が出ていることを実感します。
さて、文化堂さんはこちらではお面と豆兜を買い付けされました。これはどんなお客さんが購入されるのか訊いたところ、現地に滞在している日本人が購入する割合が多いとのことです。

次に伺ったのは、久月のすぐ近く、こちらも本店、シモジマ 浅草橋本店です。シモジマも100年以上の歴史を持つ老舗の生活雑貨店ですが、家電や食品も展開しており、多岐に渡って商品を販売しています。
浅草橋にある本店は8階建てのビルで1階まで商品ジャンル毎に商品コーナーが設けられています。まずは8階から順に見て回り、ポチ袋や折り紙、手ぬぐいといった商品を手に取られていました。
【奥野かるた店】
最後にお伺いしたお店は神保町にある奥野かるた店です。社名にも含まれているかるたや百人一首といった昔懐かしい品をはじめ、囲碁やチェスといった室内ゲーム系の商品も多数取り扱いをされています。
文化堂から直接希望をいただいていた花札を先ずは見せていただき、すぐに気に入って注文いただきました。囲碁も購入希望のお話をいただきましたが、驚くべきことにアメリカ囲碁協会という組織が存在し非常にポピュラーなゲームと認識されているようでした。

今回の買い付けはご紹介した3店舗と、翌日には上野の郷土玩具などを扱う卸問屋の喜多村さんなどを訪問し、浅草寺にも立ち寄られました。
文化堂さんは1~2年に1度、日本での買い付けをしており、次回は来年か再来年もしくは更に数年後となるかもしれませんが、その機会にはまた当社のほうでサポートさせていただきたいと思います。
ご協力いただきました関係各所の皆様、誠にありがとうございました。

文化堂 BUNKADO
https://www.bunkadoonline.com/
340 E. First Street
Los Angeles, Calif. 90012
Mon - Thurs: 10am - 6pm
Fri - Sun: 11am - 7pm
Instagram:@bunkado_ltla
TikTok:https://www.tiktok.com/@bunkado
