リトルトーキョーの象徴「文化堂」:アメリカと日本を繋ぐ橋

FEATURE
Interviewer Yasuhiko Hayashi Photo by Yoshie
ロサンゼルスのリトルトーキョーは、全米最大かつ最も歴史ある日本人コミュニティとして知られ、全米における日本文化発信の中心地として、また日本文化を次世代に伝える重要な役割を担ってきました。そのリトルトーキョーの歴史と文化を象徴する存在である文化堂は、我々日本出版貿易の創設以来のパートナーでもあります。今回、3代目オーナーのアイリーン・ツカダ・シモニアンさんにお話をお聞きすることができました。
<文化堂(Bunkado)>
1946年創業、ロサンゼルスのリトルトーキョーにある日本の伝統的な工芸品、一般的な日用品や布製品、食器、書籍など、多岐にわたる日本文化に関連する商品を取り扱う日本雑貨店。商品の販売のみならず、戦後から今日までの長きにわたり日本文化を発信し続けている。
オーナーのアイリーン・ツカダ・シモニアンさん

―こんにちは、文化堂さんは1946年創業ですから、かれこれ80年に近い歴史がありますね。

はい、文化堂は1946年、第2次世界大戦すぐに、私の叔父のトキオ・ウエヤマによってリトルトーキョーでオープンしました。叔父はもともと戦時中はキャンプ地で写真家をしていたので、たくさんの文化人と交流がありました。例えば、メキシコ人画家のディエゴ・リベラ(Diego Rivera)などです。当時、私たちの親戚はスポーツ用具のお店やギフトショップなどいくつかのお店をリトルトーキョーでやっていましたが、最終的には文化堂だけが残りました。
私自身は22歳までニューヨークのジュリアードでダンサーを目指していて、そのまま17年間ニューヨークで働いていたんですが、父が亡くなり、母が一人でお店を切り盛りしていましたので、ロサンゼルスに戻り母を助けることにしたのです。

―文化堂は、文化の集まる場所、文化の家ということを意味すると思うのですが、もともと叔父様がカメラマンであり画家でもあり多くの芸術家たちとの交流があったことも含めて、そういう意味でこの名前にされたのですね。

はい、リトルトーキョーは他にも戦後の復興期の中で様々な文化人やアーティストたちが集まっていました。その空気感は今でも引き継がれているのだと思います。

―私たち日本出版貿易も1942年に創業して、その創成期から文化堂さんとお取引きをさせていただいています。

私たちは、もともとレコードや日本の雑誌を御社から輸入し、それを全米にいる日本人の方に定期的に配送していました。

―全米にですか!?

地方の方はお店に来られないし、当時、アメリカの地方で農業に従事している日本人の移民の方が沢山いましたので、その方たちに送っていました。

―主にどのような雑誌を取り扱われていたのでしょうか。

婦人公論や、マーガレットなどがとても売れていましたね。もう今では雑誌はほとんど販売していないのですが…

変遷するリトルトーキョ

―少し話は変わりますが、この10年ほどの間にリトルトーキョーもだいぶ変わったのではないでしょうか。とてもきれいになりましたよね。

昔はホームレスもいたりして、治安もあまり良くなかったんですが(笑)みんなでクリンネス活動をやり始めてから、地域の警察の協力もあり、すごくきれいになりました。ありがたいことに、今では全米でもとてもユニークな場所として有名になり、若い人達もこのリトルトーキョーに沢山集まってきます。

ー日本の文化はアメリカでは人気がありますか?

はい、アニメの影響も大きいと思いますが、今ではもう日本のサブカルチャーはしっかりアメリカに浸透していますし、とても人気があります。
例えば、抹茶はすごく人気です。若い人には、抹茶アイスクリームなどとても人気がありますし、お年を召した方は健康的だと言って皆さん大好きですね。
あとラーメン屋さんも多いです。ありすぎて、またラーメン屋さんができた(笑)、なんて冗談で言うほどです。ラーメンは選び放題、リトルトーキョーはラーメンロードですね。

―ロサンゼルスでも昔は幸楽苑が唯一のラーメン屋さんでしたよね、日本食が恋しくなったら幸楽苑みたいな。

ラーメンがとても人気ということもあり、蓮華とかどんぶりも売れますね。それと楽焼などの陶磁器も人気ですね。

―これまでお店をやってきて思い出に残るエピソードがたくさんあると思いますが、少しだけ教えていただけますか。

昔はレコードやCD、カセットテープを沢山販売していたので、美空ひばりさんはアメリカでコンサートがあるとよく立ち寄ってくれましたし、歌手の北島三郎さんなんかも良く立ち寄ってくれて、文化堂の方が日本より古くてレアな商品ががたくさんあるなんて言って良く買ってくれていました(笑)

―多くの日本の有名人の方がお店に立ち寄られたのですね。

あと面白いのは、家紋ですかね。

―家紋?

旅行でアメリカに来ている日本の方が、ご自分の実家の家紋をここ(文化堂)で見つけたりして、すごく喜んでいました。俺の家紋がロサンゼルスにあった!なんて言って(笑)

ジブリ、ゴジラ

―お店ではどういったものがよく売れているのでしょうか?

やはり、全体として「かわいい」カルチャーは大人気ですね。
キャラクターや商品でいったら、映画の影響でジブリとかゴジラは大人気です。ゴジラであれば何でも売れます(笑)

ロサンゼルス・ドジャース

―そういえば、エンゼルス大谷翔平選手のドジャース入団も決まっており、日本ではロサンゼルスがとても脚光を浴びています。今後も日本人の観光客が増えるのではないですか?

実は私、エンゼルスの大ファンなんです。球場にはよく行くんですが、昨年まではダグアウトが見える席で、私の隣にいた日本から応援に来た旅行中の人が大谷選手を見て声を上げているのを見ながら、ほんとにキュートだなと思っていました。

画面向かって右に隣接するホテルは2024年3月27日にドジャース大谷選手の巨大な壁画がお披露目されたミヤコホテル。

―(笑)

ただ、大谷さんとトラウトなど主力選手が頑張っていても、チームが弱くて、試合によく負けていたので少し可哀そうでしたね…

―しかし、その大谷選手も今年はドジャースに移籍してしまいますね。

日本人の方がたくさん来るのでビジネス的にはハッピーだけど、エンゼルスファンの私としては戦力が落ちてハッピーではないです(笑)ここでドジャースのユニフォームでも売ろうかなと思っています(笑)

最後に

―最後に日本の方にメッセージをお願いします

ぜひ、ロサンゼルスに来たらお店によって声をかけてください!

―アイリーンさん、有難うございました!

[Information]
文化堂 BUNKADO
https://www.bunkadoonline.com/

340 E. First Street
Los Angeles, Calif. 90012
Mon - Thurs: 10am - 6pm
Fri - Sun: 11am - 7pm

Instagram:@bunkado_ltla
TikTok:https://www.tiktok.com/@bunkado
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