日本語コンテスト『National Japan Bowl』主催日米協会Ryan Shaffer会長インタビュー

FEATURE
Interviewer William Brook Translate Hiroshi Suzuki Edit & Text by Shiritaikun
私たちは創業当時より続く出版物の輸出、特に日本語教材の海外向け出荷を通じ現地における日本語教育の普及を後押ししてきました。今年2023年で31回目を迎えた全米屈指の日本語コンテスト「National Japan Bowl®」に、当社は初めてスポンサー企業として参加しました。3年ぶりに対面式大会として復活した同大会で、大会を主催するワシントンDC日米協会のRyan Shaffer会長にお話しを伺いました。
<National Japan Bowl®>
アメリカ合衆国で毎年開催され今年2023年で31回目の開催となる全米屈指の日本語コンテスト。全米から日本語を学ぶ高校生が参加し、日本語でのスピーチやクイズに挑戦します。日本語を学ぶ生徒たちが日本文化や日米関係を学ぶ機会を提供することを目的としており、日本語教育の推進や、日米関係の発展に貢献するとともに、日本語を学ぶ生徒たちにとって、日本文化や国際交流に関する貴重な体験を提供しています。
日米協会Ryan Shaffer会長(左) / William Brooks GM (JPT AMERICA)(右)

ライアンさん、決勝戦実施時の 忙しい中、時間を割いてくれてありがとうございます。
今年、この大会に参加できて光栄です。早速、最初の質問ですが、在任中にDC日米協会のリーダーとして直面した課題は何ですか?そして、それらにどのように対処してきましたか?

私たち全員が直面した明らかな課題は、パンデミックに適応し、新しい生活様式に順応することでした。しかし、パンデミックによってもたらされた財政的、ビジネス的な苦難を克服する能力があった幸運な組織にとっては、デジタルツールの開発に注力することができたため、多くの人々が新しい生活様式に適応することができたと言えます。つまり、幸運な組織はデジタル化により逆境を乗り越え、多くの人々が新しい状況に対応する力を得ることができたと言えるのではないでしょうか。

パンデミック後の世界では、全てが完璧とは言えませんが、多くのツールが、私たちが行ってきたビジネスをサポートしてくれました。それによって私たちはより洗練されたビジネスを展開し、多才になって成長することができます。同様に、社会もこの点で例外ではないと思います。

なるほど、素晴らしいですね。ありがとうございます。

さて、ご存知のように米国だけでなく世界的に、ダイバーシティ、インクルージョン、エクイティが話題になっています。その中で、アメリカの日系人コミュニティにおいて、日米協会がどのような役割を果たすとお考えですか?

私たちは、非常に多文化な国に住んでいます。私たちの街であるワシントンDCは特に多文化な街であると思います。そのため私たちは日本人や日系人コミュニティのみでなく、ワシントンDC地域の様々な人種や民族の構成を反映させてサービスを提供しています。民族や経済的背景に関係なく、誰もが日本に興味を持つ理由を持っていることがわかっているからです。

つまりは日本の文化、例えば漫画、空手、寿司、カラオケなどが、人々の興味を引く機会を作り、人々はそれを通じてアメリカの外の様々な世界を知ることが出来るようになります。

パンデミック後の新しい生活様式にいる今、今後の日米協会の目標は何でしょうか?

ワシントンDCは幸運なことに、かつてニューヨークやロサンゼルスの友人たちが経験したような過程で日本文化を受け入れ始めている地域です。ワシントンDCも同じ道を進んでいるのですが、これは素晴らしいことだと思います。1957年に私たちの組織が設立された当時には日本に興味を持つ人たちの受け皿がなかったのですから。

私たちが協会を設立したのはそのような理由からでした。しかし今では、ワシントンDCで日本文化に触れる機会を創出し実行する全ての事を要求されるような協会ではなくなりました。ナショナル・ジャパン・ボウルやジャパニーズ・ストリート・フェスティバルなど、私たちが行うさまざまなイベントには、もちろん多くの人が訪れてくれるでしょう。

でも彼らは、私たち日米協会がこの街のコミュニティベースで起こっている全てのクールで日本的なものの情報センターであることを知っていて来てくれるのです。

とても面白いですね。ナショナル・ジャパン・ボウルが異文化理解を促進し、日米の関係を構築することの重要性についてお聞かせください。我々は今回が初めての参加なのですが、大使のような方がいらっしゃるということは、それだけ重要なイベントなのですね

そう思います。米国と日本の将来の関係には、日本の文化や言語に詳しく、流暢ではなくても、日本の同僚や友人と有意義にコミュニケーションを取ることができる、有能な若者が必要です。彼らがいなければ、二国間の関係はこれほど強いものにならないでしょう。

ナショナル・ジャパン・ボウルに出場する学生たちは、そのような次の世代なのです。しかし、彼らを当然の存在として考えることはできません。彼らがこうした関心を持ち続け、日本語を勉強し続け、これらのスキルを維持し続け、その後のキャリアや社会生活を送ることを当然と思ってはいけません。ですから、私たちはジャパン・ボウルを使って、その先にあるチャンスを示す必要があるのです。同時に、次の世代のために日本のプログラムが常に存在することを当然のことと見なすことはできません。

ナショナル・ジャパン・ボウルは、全国的なプログラムのひとつで、学校に対して日本語プログラムを維持し、予算削減から守るためのインセンティブを提供するおそらく唯一の全国的プログラムです。そしてその興奮と熱意を維持し続け、プログラムを存在させ続けるというものなのです。

でも、私が高校生の頃には、フランス語やラテン語、ドイツ語、スペイン語とは違うからという理由で、日本語やロシア語のプログラムは予算が減らされたことが何度もあったんですよ。だからあなたのような組織が、ここアメリカで日本語を普及させていることを知るのはいいことです。

同感です。

ナショナル・ジャパン・ボウルに参加したいと思っている学生たちに、どんなアドバイスがありますか、そして、彼らが大会の準備をするために何ができますか?

簡単なことです。

一生懸命勉強すること?

そうですね。それから、まずは応募して参加してください。生徒には、先生や学校に自分の熱意や興奮を示す機会があります。結局はそれがすべてです。もし学校が、生徒が興味を持っていると感じなければ、日本語のプログラムをサポートすることはないでしょう。だから、ナショナル・ジャパン・ボウルに気づいた生徒が、それを先生に伝えて、「これは私がやりたいことなんです」と言うことが大事なんです。

私の友人もやっていましたし、私もYouTubeで見ました。そして、その人たちが来たり、学校が日本語プログラムをサポートするためにこれを使ったりする機会を作れればと思います。

なるほど。そうですね。

御社に参加して頂き、ジャパンボウルに関心して頂いた事は、とても素晴らしいことだと思います。

光栄です。今回、私たちの参加は突然決まりましたが、この2年間はカリフォルニア州南支部をずっと支援してきました。これは私が入社して最初にしたことのひとつで、高校への寄付や日本語の普及に携わりたいと思ったからです。今年はジャパンボウルに参加することができ、あなたとお会いする事が出来ました。そして、あなた方と一緒に、アメリカでの日本語の普及に貢献したいと思います。

我々にはそのようなサポートが必要なのだと考えています。プログラムを支えるための金銭面的なものだけでなく、学界コミュニティの外側の方々にも関心を持たれ、支えられるようにすることが重要なのです。それなので御社だけでなく三菱重工様や三井物産商事様とも良い関係を築いて頂いています。

しかし率直に言って、学生に目を向け、学生への関心を示している日本企業の数は少ないのです。関心を示す日本企業がもっと必要です。

まったくその通りだと思います。本日は本当にありがとうございました。

[Information]
・31st National Japan Bowl
https://japanbowl.org/31st-national-japan-bowl/

➢Congratulations to the winners of 31st National Japan Bowl Winners !!
Level 2 First Place: Stuyvesant High School, NY
Level 3 First Place: Cupertino High School, CA
Level 4 First Place: Cupertino High School, CA

・JAPAN-AMERICA SOCIETY OF WASHINGTON, INC.
https://jaswdc.org/
1819 L St NW, Suite 410 Washington, DC 20036

Facebook:https://www.facebook.com/jaswdc
Instagram:https://www.instagram.com/jaswdc/
Twitter:https://twitter.com/jas_wdc
この記事をシェアする
RELATED ARTICLES
あわせて読みたい記事はこちらから